近年結婚に対する考え方の多様化が進み、形式にとらわれず自分たちのスタイルで暮らすカップルも増えています。
夫婦同然の関係であっても婚姻関係にないケースでは、どちらかが亡くなったときに不動産などの財産を残せるのでしょうか。
この記事では事実婚のパートナーに相続権はあるのか、財産を譲るにはどのような方法があるかを、その際の注意点と併せて解説します。
事実婚の相続におけるパートナーの相続権の有無
事実婚のパートナーには、遺産の相続権はないのが原則です。
自治体によっては、所定の手続きをおこなえば法律婚と同じ権利を受けられるところもあります。
しかし、遺産を引き継げる方の範囲は、民法で定められた法定相続人に限られています。
その範囲は戸籍上の配偶者や子ども、直系尊属、兄弟姉妹であり、事実婚のパートナーは含まれません。
夫婦同然に過ごしてきて、ともに財産を築いてきた関係であっても、その財産を引き継ぐ権利は法律で認められていないのが実情です。
パートナーに財産を残したいときは、生前に何らかの対策をしておく必要があります。
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事実婚のパートナーに財産を相続する方法
生前贈与であれば、贈る相手が誰であっても財産を譲れます。
贈与する額が年間で110万円までなら、贈与税の申告も納税も必要ありません。
死亡保険金の受取人に指定する方法も有効です。
ただし、パートナーに戸籍上の配偶者がおらず、一定期間以上生計をともにし、同居している必要があるなどの要件があるため、保険会社に確認しましょう。
遺言書を残しておけば、法定相続よりも効力が強いため、生前の意志を反映できます。
しかし、財産のすべてを譲る旨の記載があっても、法律上の相続権がある方には一定の割合の財産を受け取る権利があります。
遺族から遺留分の請求があれば、財産の一部を渡さなくてはならないケースもあるでしょう。
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事実婚のパートナーに財産を相続するときの注意点
注意点として挙げられるのは、事実婚のパートナーが遺産を引き継ぐ場合、相続税が2割加算される点です。
配偶者・子ども・親以外が財産を譲られた場合には、相続税額の2割の金額が税額に加算されます。
さらに、法律上の婚姻関係にないと配偶者控除や小規模宅地等の特例が利用できません。
配偶者控除とは、配偶者であれば、遺産の1億6,000万円まで相続税が課税されない制度です。
遺産が家や土地などの不動産の場合は、現金での納税が難しい場合もあるため注意しましょう。
小規模宅地等の特例とは、一定の面積までの評価額を減額できる制度ですが、適用が認められているのは法定相続人のみです。
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まとめ
事実婚のパートナーに相続権はないのが原則です。
財産を残すためには、生前贈与する方法や、死亡生命保険や遺言で受取人に指定する方法があります。
相続の際には控除や特例が受けられず、配偶者よりも税金が高くなる可能性がある点には注意が必要です。
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